10Xに入って3ヶ月、いまの仕事とキャリアについて
2022年5月に10XのGrowth & SuccessチームへJoinして、無事に試用期間が終わったらしい。
ぼちぼち良いタイミングなので、Meetyも再開してみたが、
「いまデータアナリストとして働いていますが、これから何を目指すか悩んでいます。」
のようなコメントを受けることも増えてきた。
僕自身大した人間でないことは前提に置きつつも、アクセンチュア(第二新卒)→ZOZO(データ分析)→ヤフー(プロジェクト推進)→10Xという事実から、将来のキャリアに対する不安や、個人の役割定義が気になる心理については、よく理解できる。
正直に言うと、そんな悩みも回り回って、キャリアとか考えなくなった、が今の結論なのだが。
それだと味気ないので、今の僕が何を考えているのか、せっかくの機会なので言語化しようと思う。
必ずしも誰かの役に立つと保証はできないが、少なくとも未来の僕から見て、かつて何を考えていたのか、振り返ることはできるはず。
要はポエムである。
いまどんな仕事してるの?
一言で書くと、データに関する諸々を捌きながら、その諸々をマネジメントする仕事をしている。
もう少し具体的に書くと、分析からは片足を抜き、ネットスーパーの新規ローンチやプロダクトの機能追加に必要なデータマネジメントやプロジェクト推進をしている。
社内外から挙がる様々な要件について、データ観点からプロダクトに反映させる方法をBizDevやPdMと考えたり、Engineerと実装したり、やりがいのある仕事である。
言い換えると、事業とプロダクトの間をデータで繋いだり、職種の間に立つ役回りをしたり、長期目線で境界線を整備することも、重要な責務である。
データそのものに着目すると、これまでの経験から差分がある反面、面白みを持つこともできている。
例えば、実際の店舗を想像すると容易いように、スーパーで扱う商品はラインナップや売価や在庫数が、日々刻々と変わっていく。
生鮮食品だと、賞味期限や店舗販売などの観点から、データ自体に新鮮さが要求され、「グラムでは把握してるけど点数では把握していない」といった物理的な数の定義が難しかったりする。
さらに、1店舗当たり何万にも及ぶSKUが存在しつつ、データもシステムのあちこちに散らばっているなど、ちょっとダイブしただけで課題が多く潜んでいることは、手触り感を持って分かってきた。
とはいえ、こういった課題に対して、モダンな技術スタックを武器に戦っているという点は、胸を張って良いとも思っている。
様々な障壁に対して、プロダクトとして受け皿や仕組みを提供することで、ネットスーパーの売り場を実現している。
そして僕たちが扱うデータは、最終的にはエンドユーザー(買い物をする消費者)に届けられ、ひいては売上という形でパートナー企業(小売)に還元されている。
一方で、将来に向けて考えるべきことがまだ山ほどある。
パートナー企業数・取扱高も、抱える仕事・メンバーも、益々増えていく今後を想像して、汎用的なアーキテクチャ設計にリソースを割いたり。
チームの組織編成について、開発体制やオンボーディングの観点から、様々な仕組みやガイドライン整備、時には小さな実験もしてみたり。
はたまた、データプロダクト自体をスピンオフするなど、新たな事業機会創造に向けた探索を行ったり。
そんな未来の話も含め、以下のPodcastでは詳細に言及しているつもりである。
なんでその仕事してるの?
では、10Xでこんな役割を担うことを想像できたか?
僕の拙い脳味噌では、圧倒的にNoであった。
10Xは副業からのスタートだが、当初は違う仕事をしていたし、事業や業界に対する解像度も粗く、現在に行き着いた過程についても、言うなれば成り行きでもあった。
ここまでの経緯だったり、僕自身がいままで何をしてきた人間なのかは、以下の入社時投稿やPodcastでも言及した。
似たような話で、人によっては自分がデータアナリストやサイエンティストのつもりが、気がついたらPMやディレクターの立ち振舞いになったり、データ基盤やガバナンスに染み出していた、ということも、あり得るのではないかと思う。
そして、自分自身は何者なのか、将来は何者になれるのか、どんどんわからなくなっていく。
少なくとも、過去の僕はそうだった。
しかし今はというと、そういった気持ちは段々と消え去っていった。
それは色々な過程があって、例えばとある組織で求めれていたような、一見クールだが当事者意識の薄いフェルミ推定・その延長のカッコいいとされるプレゼンには、どうしても熱意が持てなかった。
あるいは、僕のように半人前ではなく、機械学習・因果推論・最適化問題に対する専門性が真に深い方、ゼロからグロースまでのグランドデザインが描ける方などとの協業を経て、自分自身の限界を察した。
純粋な尊敬の念から「この人のようにはなれない」と感じる機会に恵まれたと共に、「どうすれば彼らに気持ち良く活躍してもらえるのか」「彼らでも解決できていない・取り組むべき課題は何か」などを考えるようになった。
他にもあり得た世界線として、実際にデータ分析をしている過程で、結局は元データの問題からデータマネジメントの必要性に駆られたり、あるいは組織編成的にプロジェクトマネジメントや要件定義へ活路を見出すことも、容易に想像できる。
僕が所属するGrowth & Successチームは、言うならばGMVや利益を伸ばすためなら何でもやるチームである。
そうなると、パートナー企業だったり事業のフェーズによって、やることも当然変わっていく。
現在の僕の仕事は、ネットスーパーを新しくローンチしたり、導線・欠品改善なども含めて、まずはエンドユーザーが使える状態に持っていく・信頼してもらう・継続してもらうための仕事である。
なぜならば、チームの役割から存在するイシューを見渡すと、その優先度が高いからである。
総じて、自身の嗜好や専門性がふんわりしていた時期も経て、最近は個人のキャリアについて、細かいこだわりは無い。
ふんわりロールあるあるだが、半人前の掛け算でバリューが出せる領域において、目の前の事業・組織で必要性が高いポイントを探した結果、たまたまそこに辿り着いたのだ。
他方で、曲がりなりにもデータを分析して知見を出す仕事をしてきた上で、ネットスーパーのマスタデータ生成やマネジメントにピボットできるのか?という疑問を抱くかもしれない。
これに対しては、満点ではないにせよ、少なくとも過去の経験は十二分に活かされている。
「データを武器に価値貢献する」という点は共通しつつ、業務でハンドリングしたデータは、プロダクトや事業にダイレクトに影響を及ぼす構造になっている。
当然責任は重くなるが、面倒を見たデータや育てたロジックが、アプリの売り場に綺麗に表示され、日の目を見た瞬間には、何事にも代えがたい感動がある。
分析レポートやダッシュボードが使われない、という事例も見聞きする昨今、領域の違いは若干あれども、同じデータを扱いながら直接やりがいを感じやすい。
スキル面でも、例えばSQLやドキュメンテーションのような経験は流用しつつ、スクラム開発やdbtを用いたデータパイプライン作成だったりと、見様見真似だが仲間達の助けもあって、新しい領域に触れる楽しさもある。
もちろん、ローンチ後のグロースフェーズ・後々の分析にも思考が及ぶように、過去の視点が生きていると感じることもある。
キャリアとかどう思っているの?
そんな過程を踏まえ、いまの僕はキャリアについてどう考えているのか。
答えは、いまの役割でやるべきことが沢山あるし、一方で過去の指針と大きく変わったとも思っていないし、未来もこの延長線上にあると思っている。
僕の役割は、データサイエンティストとかソフトウェアエンジニアみたいに、わかりやすいラベルが付いた何か、ではないのかもしれない。
しかし、分析も開発も真の目的は課題解決や社会実装だったりするので、本筋としてはそんなに変わらない、というのが現時点での認識だ。
過去にデータアナリストやプロジェクトマネージャーだと自己認知していた頃と変わらず、なぜその課題や要件に取り組む必要があって、どうすればそれが解決や実現できるのか考えたり、ステークホルダーとコミュニケーションをとっていくことは、これからも続けていきたい天職だ。
パートナー企業やエンドユーザーに価値を届けるため、目的達成手段・判断指標を明確にすることは、データ分析と変わらないし、非常に楽しい営みである。
短期で見ても、後にローンチを控えてるパートナー企業をお待たせしないために、もっと多く・早く・上手く仕事を捌く方法論を固める必要がある。
その過程で、チームの見積と実績の可視化・タスクの優先順位付け・アーキテクチャの刷新といった、様々な仕組み作りを進めている。
これはデータ云々という文脈に限らず、非常に汎用的な経験となるのではないか、とも思っている。
長期でやるべきことでいうと、将来作りたい・もっと大きい世界がある上で、そのための現在に過ぎない、という潜在意識がある。
まずはネットスーパーをローンチし、ユーザーに信頼・定着してもらうことで、初めて正確で綺麗なデータが積み上がっていくのだ。
もちろん買い物体験の楽しさも大切だが、口に入れるものを取り扱う・忙しい人を助けるプロダクトである以上、どうしても利便性や安心感が優先され、助走距離は必要なのかも知れない。
逆に言えば、これから一層データが積み上がってきた未来に、事業を伸ばすためにやれそうな領域はたくさんある。
Stailerに介在する多様・多量なデータを武器に、需要予測・推薦などより一層専門性の高い方に活躍いただく領域を定義して、拡大していけるポテンシャルは計り知れないと信じている。
それは今後数年間というスケールではなく、数十年という単位で取り組んでいく価値がある未来だ。
ここまで、過去と未来それぞれに目を向けてみたが、結局のところ僕自身のモチベーションは
- 家族や友達に説明・価値還元できるような仕事であること
- 尊敬できる仲間と協業できるような仕事であること
の2つだけだったりもする。
この2つを考えて行動した結果、現時点では偶然にも、いまの会社・役割と交点を持つことができた。
If you’re offered a seat on a rocket ship, don’t ask what seat, just get on. - Sheryl Kara Sandberg
個人のキャリアや役割や専門性は、もちろん大切だ。
それでも僕は、仲間と事業を成功させること、親しい人に誇れる何かを成し遂げることを喜ぶ人間でありたい。
もちろん、自分自身が船に乗る選択肢を取った以上、その目的地を正解にするための努力は続けなければならない。
その船に求められる役割があり、自分を必要だと言ってくれる仲間がいるならば、細かいこだわりなんてどうでも良いのだ。
ジョブディスクリプションについて
話は変わり、社内でのディスカッションを経て、最近ジョブディスクリプション(JD)を再定義した。
JDは、僕たちの仕事を対外的に伝える、重要な非同期コミュニケーションツールのひとつだ。
先に述べたような、データプロダクト全体をマネジメントする仕事について、現時点ではData Product Managerと呼称することにした。
念のため世間一般との整合性も取ると、Data Product Managerとは以下のような役割が定義されているようである(個人的な解釈も含む)。
- プロダクトのデータ収集・整理・保存・共有・管理について、組織における責任を持つこと
- プロダクトのライフサイクル全体を通じて、信頼できるデータフローを整備し、機能を構築・完成させること
- 大規模なデータ取り扱いの要件につき、実行可能なサイズに分解して、それに適切なリソースを割り当てること
- ビジョンを伝え、要件を特定・翻訳し、利害関係者の調整・プロジェクトの優先順位付けをすること
- 組織内のデータ民主化に加え、データおよびそれらの組み合わせによる新たな価値実現に向けて探索をすること
- 時にはデータサイエンス・機械学習などを目的ではなくツールとして用いながら、プロダクトに組み込んで収益化すること
- 内外のデータを用いて仮説検証を行い、プロダクトマネジメントにフィードバックさせること
スタートアップでは、個人の実力・嗜好・適正に対して、機会の大きさが勝るタイミングが発生してしまうのかもしれない。
すると、自分を主語にするのではなく、時には会社や事業を向く必要性に駆られるかもしれない。
とはいえ、今回定義したJDについて主観だが、以下のような方におすすめできるとも考えている。
- プロジェクト・プロダクトマネジメントの経験があり、よりデータ領域に特化していきたい方
- データ分析などを担当され、SQL力に自信はあるものの、その先のキャリアの可能性を広げたい方
- 分析やプロジェクト推進に軸足を置きつつ、データパイプラインを作成するモダンな技術(dbtなど)にも触れてみたい方
- データアナリストから一層幅を広げて、toB・toCの両面から事業をグロースさせる仕事に責任を持ちたい方
- BizDev・PdM・Engineerと密に連携しつつ、自分の仕事をプロダクトに直接反映したい・世の中に直接インパクトを与えたい方
- 小売の在庫データ・セレクション・需要予測などに知見がありつつ、それに向けた活躍領域を0から作って行きたい方
- まずは副業や業務委託からでも、僕たちの業務に関わってみたい方
こういったキーワードが気になる方は、ぜひカジュアルにお話させていただきたい。
もちろん、僕たちも試行錯誤しながらなので、キャリアの壁打ちだったり、JDへの質問・異議申し立ても大歓迎である。
結びに
ここまでお読みいただいて、 本当にありがとうございます!
どうやら全くの偶然ですが、8/31水曜日の夜に以下のイベントを開催予定となっております。
本記事をお読みいただいた上で、少しでも気になった方は、ぜひ参加をご検討ください!